「処暑の候」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
日本の季節を表す言葉なのですが、なかなか聞かない言葉ですね。
日本には美しい四季がありますが、その四季をさらに細かく分けたものの中のひとつが〝処暑」です。
「処暑の候」の意味や使い方は、日本人であれば覚えておきたい言葉のひとつです。
処暑の候を使った手紙の書き方や例文、結びの言葉などを、日本ならではの四季とともに、解説していきます。
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処暑の候とは?読み方や意味
「処暑の候」の読み方は、「しょしょのこう」です。
処暑の候とは時候の挨拶のひとつで、手紙やハガキを書く時の、冒頭の決まり文句に使う言葉です。「拝啓〜」のあとに持ってくる季節を表す言葉ですね。
「候」とは「季節」の意味を表し、
「処」とは「とどまる」「落ち着く」の意味を表します。
処暑となるとその字の通り、暑さがとどまる、暑さが峠を越えるという意味になり、その時期は夏の暑さが終わり秋に向かう季節を指します。
暑い夏でも、昼間は暑いのに朝方や夕方は涼しさを感じる時期がありますよね。それはほんの数日ですが、あぁもうすぐ夏が終わりに近づいて、秋がそこまで来ているなぁと身体で感じますよね。
そんな時期を、「処暑の候」と呼びます。
身体で感じる僅かな季節を言葉で表す日本人はとても素敵だなと感じます。
処暑は、日本の四季をさらに24等分して表した「二十四節気」の中のひとつですが、他の言葉も素敵なので紹介します。
春:立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨
夏:立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
秋:立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降
冬:立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒
聞いたことのある言葉もありますね。
興味のある方は1つ1つ意味を調べてみると、さらに言葉が深まると思います。
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処暑を使う時期
暦の季節では、処暑は秋にあたります。
時期は、春分の日や秋分の日が毎年違う日のように、その年によって異なります。
2019〜2023年までのカレンダーでは、8月23日が処暑となっています。
期間は8月23日〜9月7日まで、次の季節の区分である「白露」の前日までです。
処暑の候は、残暑見舞いの時候の挨拶にオススメです。
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処暑の候を使った例文と結びの挨拶
処暑の候を使うのは、手紙の前文です。
前文とは、
- 頭語
- 時候の挨拶
- 相手の安否を尋ねる内容
で構成されています。
頭語とは、拝啓〜、謹啓〜、と言う始まりの言葉で、ここでは処暑の候は使えません。処暑の候を使うと、堅い言い回しになってしまいます。
処暑の候は、頭語のあとに続く時候の挨拶で使用していきます。
時候の挨拶は「処暑の候」の他に、「晩夏の候」「立秋の候」「初秋の候」「避暑の候」などがあります。どれを使用しても大丈夫です。
そのあとに、相手の安否を尋ねる内容として、「お変わりなくお過ごしでしょうか」など相手を気遣う内容を書いていきます。
処暑の候を使った前文の例
処暑の候を使った前文の例は
《例文》
拝啓 処暑の候 夏の日差しが眩しいこの頃ですが、お変わりございませんか。
敬具
などになります。前文の書き方を覚えておけば、あとは当てはめるだけです。
それでは今度は、ビジネス用にかかれた例文を紹介します。
《例文》
拝啓 処暑の候 貴社におかれましては 一段とご発展のことと存じます
(主文)
末ひつながら貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。 敬具
などとなります。これは一例文ですので、他にも言い回しは沢山あります。
処暑の候を使ったときの結びの挨拶の例
最後の締めである《結び》も2つご紹介します。
《結び、例文》
時節柄、体調を崩されませんよう
お身体ご自愛下さい 敬具
何かとご多忙とは存じますが
まだ厳しい暑さが続きますので
くれぐれも ご無理などなさらないよう
ご自愛下さい 敬具
などと、相手の体調を気遣う言葉を使うととても良い文章になりますね。
受け取る側も良い印象を受けます。
手紙を送る相手が親戚や友人であれば、もっと砕いた言い方をして大丈夫です。
こちらも例文を紹介します。
《例文》
拝啓 処暑の候 ○○様にはその後お変わりなく
お暮らしのことと存じます
(主文)
これからますます暑さが厳しくなります
どうぞ体調には気をつけて下さい
などがあります。
最後の結びには
「暑い日が続きますが、熱中症や夏バテはしていませんか?」
「暑気払いに冷たいビールを飲みにいきましょう」
「○○にお会いできるのを心待ちにしています」
「食事を囲みながらお話できる日を心よりお待ちしております」
など少し砕いた言い方にすると、親近感がわきますね。
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処暑の候の意味や使い方 まとめ
処暑とは肌で感じる季節を表す漢字であり、さらには手紙にも使われている言葉です。
なかなか最近は手紙を書く機会もなくなり、古くからある日本の風習や言葉を知らない人が多くなりました。
日本にしかない、日本人ならではの素敵な言葉を使って、時には手紙を出してみるのもいいかもしれませんね。そして大切にしていきたいものです。